労働問題、労使トラブル、障害年金手続、厚生年金の障害年金|神戸労働法律研究所

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厚生年金の障害年金
この章では、会社員の方が加入されている障害厚生年金についての解説します。
障害厚生年金はどうすればもらえるか?
障害厚生年金を受給するには、所定の要件を満たした上で年金事務所に支給申請をする必要があります。
障害基礎年金と同様に所定の要件に該当しなければ障害厚生年金は受給できません。
受給要件に入る前に、ご自身が厚生年金に加入しているかどうかを確認せねばなりません。 大手企業でフルタイムで働いている方ならほぼ問題なく厚生年金に加入しているのですが、中小企業の中でも資金繰りの苦しい会社は、不正に全喪届(厚生年金の適用事業書を脱退する届出)を年金事務所に提出している場合があります
全喪届を提出すると、厚生年金と健康保険から外れることになり、従業員は国民年金保険料と国民健康保険料を自腹で支払うことになります。(会社員の配偶者の場合は、その配偶者の制度に加入するため、配偶者本人の負担はありません)
週の労働時間が30時間以上の方でかつ、2ヶ月を超えて働いている場合は、正社員・パート・アルバイトに関係なく厚生年金、健康保険に加入する義務が発生しますので、この条件に該当しているのにご自身で国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている場合は、違法状態にあります。老後は老齢年金が、直近では障害・死亡時に困ることになりますので、速やかに是正されることをお勧めします。
では、具体的に障害厚生年金の支給要件をみていきましょう。 障害厚生年金は次の[1]~[3]のすべてを満たした方が受給できます。
  1. 初診日において次のいずれかに該当していること。
    • 被保険者の方。
    • 被保険者であった方で、日本国内に居住する60~65歳未満の方。
  2. 障害認定日に、その傷病により障害等級1級または2級に該当していること。
  3. 初診日の前日における保険料納付要件を満たしていること。
[3]の『初診日の前日における』とは、少なくとも傷病を負う日の前日に国民年金に加入していないと障害基礎年金はもらえない(上記の『保険の逆選択』)という意味です。
また、『保険料納付要件』とは、被保険者期間のうち、保険料を納付した期間+(もしあれば)正式な免除期間を合算した期間が少なくとも2/3以上ないと障害基礎年金はもらえないという意味です。(ただし、特例的な措置により、当分の間は過去1年間に国民年金保険料の滞納がなければ保険料納付要件を満たしているとされます。)
いずれにしても従業員の方で会社が厚生年金に加入している場合は、自動的に上記の国民年金の保険料納付要件は概ね満たしているといえます。
今回は、労災請求にからめた解説ですので、国民年金の被保険者でない未成年者の方に支給される20歳前障害基礎年金については割愛します。お知りになりたい方は個別にご連絡ください。
障害基礎年金は、労災申請とは届出先も異なります。
申請の種別
届出先
労災
労働基準監督署
国民年金
年金事務所
厚生年金
労災と社会保険では障害等級が異なることがある。
同一の障害を負ったのに、年金事務所と労働基準監督署の裁定した障害等級が異なることがあります。これは、障害基礎年金、障害厚生年金の障害等級は社会保険事務所の選定する医師が等級づけを行ない、労災の障害等級は労働基準監督署の選定する医師が等級づけを行なうために生じています。
大きく差がつくことはないにしても労災で障害等級2級であったとしても障害基礎年金、障害厚生年金で障害等級3級ということがしばしばあります。これは、診断のタイミングのズレや医師の所見に差があることが要因ですが、この決定に不服がある場合は不服申し立てができます。(不服申し立てについては改めて解説します。)

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