脳血管疾患・心疾患・精神障害等 過労死・後遺障害の労災・損害賠償手続きマニュアル


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第6号 2005年3月1日 発刊


 

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脳血管疾患・心疾患・精神障害等
☆〓過労死・後遺障害の労災・損害賠償手続きマニュアル☆〓
2005年3月1日発行 No.6 週刊
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▼【お知らせ】

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 2/14 労災の認定要件 追加しました。【ホームページ】
 2/8 過労死・後遺障害【メルマガ】 No.3 発刊
 2/7 労災の認定基準 追加しました。【ホームページ】
 2/1 過労死・後遺障害【メルマガ】 No.2 発刊
 1/31 業務起因性の認定 追加しました。【ホームページ】
 1/25 過労死・後遺障害【メルマガ】 No.1 発刊
 1/24 労災補償状況を追加しました。【ホームページ】
 1/24 過労死・後遺障害【メルマガ】 創刊準備号発刊
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▼【認定要件】

神戸労働法律研究所 社会保険労務士のやぎです。前回は労災の認定基準
についてお話しました。今回は認定基準に沿ってどのような要件が認定に必要
なのかをお話します。


業務起因性の項で脳血管疾患・心疾患の認定要件は3つあるとお話しましたが、
具体的には次を指し示しています。

認定要件1「異常な出来事」
「発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確
にし得る異常な出来事に遭遇したこと」とは?

●異常な出来事
 1)精神的負荷
  極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす
  突発的又は予測困難な異常な事態。
  例えば: 業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、
  著しい精神的負荷を受けた場合などが考えられます。
 2)身体的負荷
  緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な
  事態。
  例えば: 事故の発生に伴って、救助活動や事故処理に携わり、著しい
  身体的負荷を受けた場合などが考えられます。
 3)作業環境の変化
  急激で著しい作業環境の変化。
  例えば: 野外作業中、極めて暑熱な作業環境下で水分補給が著しく
  阻害される状態や特に温度差のある場所への頻回な出入りなどが
  考えられます。

●評価期間
 発症直前から前日

●過重負荷の有無の判断
 1)通常の業務遂行過程においては遭遇することがまれな事故又は
  災害等で、その程度が甚大であったか。
 2)気温の上昇又は低下等の作業環境の変化が急激で著しいもので
  あったか等について検討し、これらの出来事による身体的、精神的
  負荷が著しいと認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的
  に判断します。

認定要件2「短期間の過重業務」
「発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと」とは?

●特に過重な業務
 日常業務〈通常の所定労働時間内の所定業務内容をいいます。〉に
 比較して、特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に
 認められる仕事をいいます。

●評価期間
 発症前概ね1週間

●過重負荷の有無の判断
 特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、
 業務内容、作業環境等具体的な負荷要因を考慮し、同僚労働者
 又は、同種労働者(以下「同僚等」といいます。)にとっても、
 特に 過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点
 から、客観的かつ総合的に判断します。

●同僚等とは?
 脳疾患を発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な
 状態にある者のほか、基礎疾患を有していたとしても日常業務を
 支障なく遂行できる者をいいます。

●業務と発症との時間的関連性を考慮して次の2点を判断します。
 1)発症直前から前日までの間の業務が特に過重であるか否か。
 2)発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない
  場合であっても、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続して
  いる場合には、業務と発症との関連性があると考えられるので
  この間の業務が特に過重であるか否か。

●具体的な負荷要因
 1)労働時間
 2)不規則な勤務
 3)拘束時間の長い勤務
 4)出張の多い業務
 5)交替制勤務・深夜勤務
 6)作業環境(温度環境・騒音・時差)
 7)精神的緊張を伴う業務

認定要件3「長期間の過重業務」
「発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な
業務に就労したこと」とは?

●疲労の蓄積
 恒常的な長時間労働等の負荷が長時間に渡って作用した場合には、
 「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著し
 く憎悪させ、その結果、脳疾患を発症させることがあります。
 このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するに
 あたっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における
 疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断します。

●評価期間
 発症前概ね6ケ月間

●過重負荷の有無の判断
 著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められ
 るか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等具体的な負荷
 要因を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷
 と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断しま
 す。
 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、
 働時間のほか、次の6点の負荷要因について十分検討することと
 なっています。

●具体的な負荷要因
 1)不規則な勤務
 2)拘束時間の長い勤務
 3)出張の多い業務
 4)交替制勤務・深夜勤務
 5)作業環境(温度環境・騒音・時差)
 6)精神的緊張を伴う業務

●労働時間の評価の目安
 疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目
 すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、
 具体的には、発症日を起点とした1ケ月単位の連続した期間をみて、
 次の3点を踏まえて判断します。
 1)発症前1ケ月間乃至6ケ月に渡って、1ケ月当たり概ね45時間を
  超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性
  が弱いと評価できること。
 2)概ね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症の
  関連性が徐々に強まると評価できること。
 3)発症前1ケ月間に概ね100時間又は発症前2ケ月間乃至6ケ月に渡って、
  1ケ月当たり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、
  業務と発症との関連性が強いと評価できること。
 ※「発症前1ケ月間乃至6ケ月間」は、発症前1ケ月間、発症前2ケ月間、
  発症前3ケ月間、発症前4ケ月間、発症前5ケ月間、発症前6ケ月間の
  すべての期間をいいます。
 ※「発症前2ケ月間乃至6ケ月間」は、発症前2ケ月間、発症前3ケ月前、
  発症前4ケ月間、発症前5ケ月間、発症前6ケ月間のいずれかの期間を
  いいます。

労働基準法32条では、日の法定労働時間を8時間、週については40時間を
超えて労働させてはならないと規定しています。もしこれを超えて労働
させる場合は、事前に同法36条に基づく労使協定を締結し、残業する
従業員やその業務、残業する時間について労働基準監督署に届出なければ
なりません。

もちろん、この場合でも届出をすれば残業が法的に許されるというもの
ではなく、従業員に対する健康を損なうことのないよう、会社には安全
配慮義務が課されます。

これまで述べてきた通り、労災認定を勝ち取るには、『どれだけの過重
労働であったのか』をタイムカードや給与明細によって立証しなければ
なりません。認定要件としては、先ず長時間労働の立証、次に健康管理上、
心身に著しく支障をきたす業務であったかどうかが問われます。日頃から
タイムカードを実態に即してきちんと記録することはもちろんですが、
勝手にタイムカードを押されるまたは押してからサービス残業せざるを
得ない場合は、ご家族の方が日記やメモに記録しておくなどの対策が後
に大きな証拠をなります。

次回は、いよいよ労災申請手続に入ります。


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▼【コラム】

大手製造業ではあまりありませんが、日本の企業の97%を占めている
中小企業では、従業員を社会保険に加入させてないことが結構あります。
というよりも、過去加入していたけれども社会保険料負担が重すぎて
脱退したという方が正解です。

ご存知の方も多いと思いますが、日本は国民皆年金・国民皆保険制度
が昭和36年に完成し、国民だれもがなんらかの社会保険に加入してい
ます。
サラリーマンなら厚生年金・健康保険、自営業なら国民年金・国民健康
保険という具合です。
給与明細を見ればよく分かりますが、これらの保険料は結構高いです。
(何をもって高いか安いかという議論は今回はしません)
保険料は会社と原則折半負担ですので、会社は少なくともあなたの給与
明細に記載している保険料と同額以上を国に納めています。これが従業
員数分あるあるから結構な額になります。

この平成大不況で社会保険料の重荷に耐えられなくなった企業はどうす
るか?
答えはカンタンです。全喪届を出してしまえば、社会保険法上は会社が
解散したことになり、当然社会保険料はかからなくなります。

全喪届とは、1回の届出で全従業員を被保険者から外してしまう届出の
ことです。通常は従業員(被保険者)が退職すると被保険者資格喪失届
を提出すれば、届出対象の従業員は被保険者資格がなくなりますが、
会社の倒産などで、たくさん従業員がいる場合、1人ずつ喪失届を出して
いられないので、一括して喪失させることができるようになっています。
これが全喪届です。

実際は、一旦会社を解散して、またすぐ蘇生させるのです。
社会保険法上は死んだままにして、実態は生き返る。
こうして社会保険料拠出を免れている企業が多くあります。
日本の歳入庁は縦割り組織になっており、社会保険庁で社会保険料を
免れても、その情報は国税庁へ回りません。

従って、納税はある程度キチンとやる。脱税すれば即調査が入りますが、
社会保険料を支払わなかったとしても事実上すぐには困りません。
遠い将来に従業員が年金額が少なくて困るというくらいのものです。

年金というものはよく老齢年金ばかりが大きく報道されますが、他にも
障害年金や遺族年金といったものがあります。みなさんは家族持ちなら
生命保険に入るでしょ?自動車を運転するなら当然自賠責保険は強制
加入ですが、ほとんど全ての方は任意保険にも入ってると思います。

年金保険料を未納していると、本来受けられる最低限の補償を受けられ
なくなります。
公的年金、公的保険が土台にあって、その上に乗るのが私的保険(生命
保険など)なのです。ご自身のライフプランを設計する上でも公的年金、
公的保険をまず考え、その上で身の丈に合った私的年金、私的保険に入る
ことが肝要です。

事情は企業でも同じです。不正に全喪届を提出している場合は、従業員
自らが国民年金、国民健康保険の保険料を払わなくてはいけなくなります。
こんなことになったときは、是非お近くの社会保険事務所に被保険者確認
(電話でOK)してみてください。
老後、困るのはあなた。大きな障害を負ったり、死んだりして困るのは
あなたとあなたの家族です。

来週はこの問題についてもう少し詳しく掘り下げてお話します。


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─────────────(ノ ̄▽ ̄)ノ 以上、コラムでした。
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  次回第6号は3/8(火)午前11:00頃の発刊予定です。乞うご期待ください!
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 脳血管疾患・心疾患・精神障害等
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編集/発行:神戸労働法律研究所

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